エコール(映画)のシナリオを書いてみた (5)

邦題 エコール(原題 Innocence)

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○学校・ホール(夜)
月明かりも入らない暗闇のホール。
置時計が九時を示し、鐘を鳴らしている。

○森・道(夜)
薄暗い鬱蒼とした森の中。
鳥の鳴き声が聞こえる。
ブン。という電気が通る音が走ると、街灯に電球色の明かりが灯る。
街灯は道に沿って、森の奥まで続いている。
地面に一つの通気口。
その通気口から、唸る様な電車の走る音。

○寮・ダイニング(夜)
電気の点いていないダイニング。
イリス、長テーブルに頬を付けて寝ている。
アリス、そのイリスの肩をゆする。
奥で使用人が仕事をしている。
アリス「イリス」
イリス、目を覚まさない。
長テーブルには皿に盛られた食事が残っている。
アリス「イリス」
セルマ、その光景を見ながら食べている。
イリス、ようやく目を覚ます。
アリス「おいで」
アリス、イリスと手を繋ぐ。
イリス、席から立ち上がる。
アリス「寮を案内するわ」
アリス、イリスを連れてダイニングを出る。
イリス「ビアンカはどこ?」

○寮・庭(夜)
薄暗い庭。
ビアンカ、玄関から庭へ出る。
玄関に灯る明かりがビアンカをぼんやりと照らす。

○寮・階段(夜)
電気の点いていない階段。
アリス、イリスと手を繋ぎ、階段を上がっていく。
イリス、窓の向こうにビアンカを見つけ窓際に駆け寄る。
イリス「ビアンカ!」
イリス、窓の外のビアンカを見下ろして、窓を叩く。
ビアンカ、振り返り立ち止まると、その窓の方向を見上げる。
イリス、階段を駆け下りる。

○寮・庭(夜)
薄暗い庭。
イリス「ビアンカ!」
イリス、大声で呼びながら駆け寄り、ビアンカに抱き付く。
イリス「どこ行くの?」
イリス、ビアンカにぐずる。
ビアンカ「言えない」
直ぐに返答する。
イリス「なぜ」
ビアンカ「なぜって……」
イリス「一緒に行く」
イリス、甘えた顔でビアンカを見る。
その目には涙が滲んでいる。
ビアンカ「だめなの」
イリス「なぜ」
ビアンカ「なぜって……」
ビアンカ、困惑する。しかし、その声はイリスを愛でている。
アリス、駆け寄るとイリスの肩に手を添える。
アリス「邪魔しないの」
イリス「嫌」
イリス、首を横に振る。
ナディア、駆け寄る。
アリス「さあ」
イリス「嫌」
ビアンカ「朝、起きる頃には戻ってるわ」
ビアンカ、屈むと、イリスの涙をハンカチで拭く。
ローズ、奥でその光景を見ている。
ビアンカ、イリスの頬に一つキッスをする。
イリス、ズルッと鼻を啜る。
ビアンカ、立ち上がるとイリスから離れる。
イリス、ビアンカを見る。
アリス、イリスを後ろから支えている。
アリスとイリス、道を歩いていくビアンカの後ろ姿を見送る。

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